マイオトレーナーの効果 [最適最善歯科治療]
予防的歯科矯正治療の一つの装置としてマイオトレーナーがあります。
大きな特徴は歯に対して直接的に力をかけるのではなく、周りの筋肉のバランスをとり、悪習癖の改善をし、上下の顎の位置関係を整えることです。
そのことにより、周りの筋肉が整い、悪習癖が改善され、上下の顎の位置関係が整えば、歯は自然と正しい位置に並びます。
ですから、マイオトレーナーを入れて、まわりの筋肉の使い方や舌の動かし方や普段の位置づけ、何より口がポカンと空いている状態を改善するためのちょっとした訓練をします。
実は今回、マイオトレーナーを入れて1ヶ月ぐらいの子のお母さんが「鼻が治ったんです。」と喜ばれ報告されました。
「今まで、季節の変わり目や、寒くなると鼻をズルズルしてた子がまったくなんともなくて、耳鼻科に行ってないんです。」
鼻炎や鼻づまりだから鼻で息がしにくく、口で息をしてしまうのではなく、口がいつも開いて、口で息をするから、鼻炎や鼻づまりになるということを今まで説明させていただきましたが、それが証明されたような気がしました。
お母さんもちょっとびっくりされていて、こちらも1ヶ月でそれなりに効果が出ることはそれはそれで少し驚いて、でも本当によかったです。
お口の二大疾患の原因とは [最適最善歯科治療]
まずはお口の二大疾患とは言わずと知れた虫歯と歯周病(歯槽膿漏)である。
実は虫歯も歯周病も細菌の仕業なのである。
虫歯の成り立ちは虫歯菌が砂糖を分解し、酸にする。その酸が歯を溶かすのが虫歯である。
歯周病は歯周病菌が歯周ポケットに繁殖し、その歯周病菌の出す毒素によって歯の周りの組織が破壊されていく。またその歯周病をやっつけようと免疫が働き、その免疫が起こることによって自分の組織を破壊してしまうことでおこる。
虫歯も歯周病もその細菌の種類は違うが、細菌が根本原因である。
アイ・メディカル発行「フッ化物でむし歯予防」より
それではどこから細菌は来るのか。実は親から子への感染が一番疑われるのである。
よって子供を虫歯から守るためにはまずは親の虫歯を予防することが大切になる。
ことに母親の予防は子供のためにも必要なことなのである。
デンタルエージとは [最適最善歯科治療]
デンタルエージを開発者である並河宏本先生の文献より抜粋させていただき説明します。
1、生体抵抗力を相対的に定性評価する方法の開発
現在の患者の口腔組織の破壊状況は、過去における原因と抵抗力のバランスの結果である。治療後の将来において疾患が再発しやすいかどうかも、原因と抵抗力のバランス如何による。つまり現在の口腔組織の破壊程度を定量的に評価することにより原因と抵抗力のバランスを評価すれば、将来における再発の可能性を推し量ることができる。
つまり再発の可能性を最小にする治療計画を立てることに反映できるようになるのである。
そこで、現在の口腔組織の破壊程度を定量評価する方法を考案し、統計的に原因抵抗力バランスを定性する方法を確立した。
このシステムを用いれば、別紙に記載したとおり、歯科臨床において多用な活用場面が考えられる非常に有用なものである。正しく運用すれば歯科医師のみではなく、国民にとっても様々な利益をもたらすものと考える。
2、デンタルエージの計算式
口腔組織の破壊程度を評価する指標を、年齢に模して表せば患者にも理解しやすい。つまり全く無傷で健康そのものである場合を0才とし、究極的な破壊状態であるすべての歯がなくなった状態を100才とするのである。そこで、この指標を特にデンタルエージと名づけた。
全口腔の28本の歯が全部なくなって100才になるとすれば100÷28=3.57で、歯1本の持ち点が3.57となる。ところが、破壊程度を二大疾患(虫歯と歯周病)に分けてそれぞれ数段階に評価するとなれば、持ち点が3.57というのは少々窮屈である。ここでひらめいて、3.57を単純に3倍すれば10.71となり、残存する歯1本につき二大疾患をそれぞれ5段階評価する歯に10.7点を与えれば、つじつまが合うことになる。
28本の評価された持ち点を総合計して、3で割れば、その患者のデンタルエージが算出される。
歯1本の評価点数T=虫歯評価+歯周病評価(存在する歯=0~10点、喪失した歯=10.7点)
並河宏本先生文献抜粋
3、デンタルエージの活用
ⅰ歯科医師にとっての活用(有用性)
・患者の生体抵抗性の評価ー治療計画作成時の診断基準となる
・治療後の経過の客観的な評価ー健康を維持できているかの判断基準となる など
ⅱ患者にとっての活用(有用性)
・歯科医師にデンタルエージを評価してもらうことにより最善最適な治療計画を提示してもらえる
・自分の口の中がどんな状態かを数値で判断ー生体抵抗力をわかりやすく理解できる
・メンテナンスにおいて、健康を維持できているかの判断が容易 など
次回は「お口の二大疾患の原因とは」を予定しております。
デンタルドックとは [最適最善歯科治療]
デンタルドックとはお口の現状を確認するための精密な検査です。放置すれば歯を失うことにつながる4つのお口の病気について、精密な検査を行い、病状の確認とその原因の追求をします。
デンタルドック内容
- 口腔内検査(肉眼による虫歯などの検査)
- 歯周病検査
- 唾液細菌検査
- かみ合わせ、顎の動きの検査
- 固有歯型模型の作成
- 口腔内写真撮影
- レントゲン撮影(大きなレントゲンパノラマと小さなレントゲン20枚)
所要時間1時間30分ぐらいの検査です。従来の(特に保険の)検査とは精密度がかなり違います。
もちろん検査をしたからと言って病気は治りません。しかし病気を治すためには必ず、その現状と原因を追究することがすべての治療の前に必要なことなのです。何よりそれなしでは診断も治療計画も立てられないからです。もしも診断も治療計画もされず、抜かなくてもすむ歯を抜いてしまったとしたら、それは大変に不幸なことです。
次回は「デンタルエージとは」を予定しております。
最適最善治療とは [最適最善歯科治療]
最適最善治療というとインプラント(人工歯根)の話とか、レーザー治療とかの話を期待されるかも知れないが、それは最先端治療のひとつの治療方法にすぎない。そんな話は後に話すとして、本当の最適最善の治療の話をしたい。
まずは最適最善の治療のための手順をお話する。
1 治療に先立ち、まずは問診をする。
当たり前と思われるかも知れないが、歯科に関する情報はもとより、患者の生活環境も把握し、歯科以外の患者の悩みも共有出来るようにする。
2 お口の中全体の検査をする。検査結果を説明する。
細かなレントゲン写真、歯の形をとる。歯肉の検査、かみ合わせの検査、顎の関節の検査、唾液検査、口腔内細菌検査などをする。
これにより患者は自分の口の中の状態を知り、歯科医はその問題の原因を見つける。何より患者は自分の口の中がどんな状態なのかを知ることが一番大切である。歯が痛いのに顎の検査なんか必要ないと思われるかも知れない。しかし歯が痛むのはひとつの症状で何らかの原因の結果である。その原因を探ることこそ一番やらなければいけない。それは家やビルを建てるときの地盤の調査であり、設計図を作る基となる。歯科治療においても現状の把握と問題の把握、また治療計画が必要なのである。
3 治療計画を作成し、報告、患者と歯科医で話し合う。
検査結果を基に歯科医は最適最善な治療計画を作成する。患者に報告するとともに患者にとっての最適最善な治療方法を話し合う。医学的には最適最善な治療法も患者にとって最適最善な治療ではないことがある。ことに審美的なことは人がどうのこうの言うことではないことがある。本人が気にしなければその治療は何の意味も持たない。ただし、医学的に歯並びが悪いことが見た目以上にかみ合わせが悪くなるとか、歯みがきがしにくく、虫歯になりやすいなどの原因になるようであればやはり歯並びを治療することも必要になってくる。患者自身が自分の口の中の現状を知り、問題点を知り、何より患者自身がどうしたらいいのか、どのような治療を受けたらいいのかを考え、歯科医に伝えることが必要である。もちろん治療費や治療回数、期間、痛い治療があるかなども相談の上、治療計画が決定される。
この手順ですすめられる治療こそ、最適最善な治療である。
最適最善な治療のために必要不可欠なことは、
・患者自身が自分の口の状態と病気の原因を知ること。
・そのために歯科医は口の全体的な検査をして検査結果をわかりやすく患者に説明すること。それは患者に理解されるまで説明すること。また考えられる治療方法を利点欠点を含め、説明すること。
・治療計画は患者との話し合いで決定すること。患者にとっての最適最善な治療計画を決定すること。
患者の立場で話せば、虫歯だからと言って、レントゲンも撮られず、どういう状態かも知らされず、何が原因かも話されず、ただ「インプラントにしましょう、レーザー治療が必要です。セラミックの歯にしましょう。長持ちしますよ。」と言われても、本当にそれが必要なのか、なぜそれが必要なのか、それをすることで健康で快適な口が維持できるのかを歯科医に尋ねることが最適最善な治療の入り口なのです。
次回は「デンタルドックとは」を予定しております。
歯は年齢とともに悪くなるもの? [最適最善歯科治療]
ここで言う「年齢とともに悪くなるもの」とは、耳が遠くなるように、目が衰えるように、(もちろんこれだって個人差がある)歯も老化現象として悪くなるのかということである。
統計に基づく検証のため、まずは平成17年度歯科疾患実態調査結果をお知らせする。
1、20歯以上の歯を有する者の割合は40歳から44歳で98%、60歳から64歳で70.3%、80歳から84歳で21.1%であった。
2、1人平均現在歯数は40歳から44歳で約27歯、60歳から64歳で約24歯、80歳から84歳で約9歯(8.87歯)であった。
以上のことから考えればやはり、歯というものは年齢とともに自然と無くなっていくものであるのか?なにをしても防ぎようがないものなのか?確かに統計上の数字としてはそう読み取れる。
しかし、同じ17年度歯科疾患実態調査結果から年次推移という方向から見てみると
1、80歳から84歳で20歯以上の歯を有する者の割合は平成5年は11.7%、平成11年は13%、平成17年は21.1%で初めて20%を超えた。
2、80歳から84歳で1人平均現在歯数は平成5年は約6歯、平成11年は8歯、平成17年は約9歯であった。残存歯数は増加している。
本当に老化現象だけにより歯が悪くなるとしたらこの年次推移はどう理解すればいいだろう。歯が悪くなることが老化現象としてDNAに組み込まれているとしたなら、12年の間に20歯以上の歯を有する者の割合が倍近くまで増えるだろうか?ここにもうひとつ興味深いデータがある。
1、歯みがき状況で、年次推移でみると時々みがく者と1日1回みがく者は、減っていき、1日2回、1日3回みがく者は増えている。また1日2回みがく者の割合が一番多く、49.4%であった。(みがかない者は変わらずいる)
以上の資料 厚生労働省「平成17年歯科疾患実態調査結果の概要について」より
ただ単に「みがくようになったから歯を失うことが減った」と結びつけることは早計かもしれないが、確かにひとつの要因になっているように思われる。
ある環境によって歯が残りやすくなるのであるなら、それは老化現象ではない。歯は決して年齢とともに悪くなるのではない。ほかの原因があって歯は悪くなるのである。
一人の患者さんのデンタルエージの経過のグラフ。 (「デンタルエージとは」はこちら)
臨床上、悪化は確かに食い止められることを体験する。
歯は年齢に関係なく、生涯お口の中にあって当然なのです。
健康できれいなお口は年齢だからとあきらめることではなくいつまでもを維持することは決して不可能なことではないのです。
次回「最適最善な治療とは」を予定しております。
和っ歯っ歯日記の再スタート [最適最善歯科治療]
みなさん、お久しぶりです。
和っ歯っ歯日記をまた綴って行きたいと思います。
お休み中に、歯科医師として、歯科治療の従事するものとして
皆さんが知りたい歯科の情報を一番にお伝えすることこそ
和っ歯っ歯日記の役目であると考えました。
最近、インターネットでもいろいろな歯科の情報が氾濫しているように思います。
たっどって行けば商品の広告宣伝であったり、自費の歯科治療の売り込みであったり
することは少なくありません。もちろん最新歯科商品の紹介や最新の歯科治療の紹介は
患者様にとって役立つものでありますが、すべてを鵜呑みにしていいのか疑わしいものもあります。
そこで新生和っ歯っ歯日記では歯科に関係するほんとうの話、を書いていきたいと思います。
とは言っても硬い話ばかりではいやになっちゃうかもしれませんので
時々は息抜きのどうでもいい話もあるかもしれませんが
これからもどうぞお付き合いください。
第一弾は「歯は年齢とともに悪くなるもの?」を予定しております。
週1回を予定しております。皆様にとって意義のあるものとなるよう心がけ
がんばって行きたいと思います。